鏡の中に私がいる 逆さ合わせの小さな私 触れれば閉ざされ冷たいまま 互い伸ばした私の手 閉ざし閉ざされそのままで 触れられることは決してない 逆さ合わせ 鏡合わせ 鏡の中の私は反対 もう一人の私 そこに確かに私はいる でも反対 私ではなく正反対の私 だからこそ私は私に手を伸ばす そこが私の入り口だから 私の心の入り口だから 手を伸ばす 触れる 開く 閉じられた、知識と 込められた、想いと 白い頁は日に焼けて薄汚れ 背表紙はボロボロで今にも破れそう 一体幾つの人が手に取ったのか わからないほどの時が経っている 閉じられた知識 込められた想い 必要だったから手に取ったのだろう 必要だったから示したのだろう 知識も想いも 手にした人は受け取ったか? 閉じられた知識 込められた想い 何を思って書いたのかはわからない 何を感じて示したのかわからない ただ、確かに想いは存在した それだけは、確かなこと
03. 光の中へ 何から守ってくれるのですか 怪物ですか 人ですか 何のためにあるのですか 戦争ですか 平和ですか 殺す為にあるのですか 守る為にあるのですか 私にはわかりません 多分、きっと、誰にだってわからないのでしょう 殺す為にあるのか 守る為にあるのか 私にはわかりません 多分、どちらもでしょう 誰かの為ではなく 自分の為に 守る為に 殺す為に あるのでしょう そこは行き止まりで袋小路 また、迷って、止まる 始まりはいつだったか 忘れてしまうほど遠い昔 この迷路に閉じこめられ ずっと独りで迷ってる 迷ったまま、立ち止まり、立ちすくみ 行き止まりにたどりつく 戻り戻り戻り それでも入り口には辿り着かず 同じところをグルグル回って そのことに気付き また辿り着くのは袋小路 そして、また、立ちつくす くるくる回る万華鏡 キレイな模様 キレイな硝子 くるくる回る くるくる回る 美しき 美しき 醜き 醜き くるくる回る くるくる回る 同じ模様は決してなく くるくるくるくる 美しき 故に醜き 魅せ魅せられ その様は芸術であり 回る回る万華鏡 巡る巡る環 美しく 故に醜く
07. 昔の夢 環にならず 矢の如く 回らず真っ直ぐ進だけ 誰も彼もが願うこと 決してそれは叶わない 叶わず叶わず叶えども 何の意味があるのだろうか 回らず真っ直ぐ進だけ 進だけ 矢の如く 環にならず、輪にならず そしてそれ故輪になって 止まらず真っ直ぐ進んでいく 環の如く進んでいく 時は刻まれる 時計は時を刻む くるくると回る からくりは、誰にも気付かれぬ 刻む時はいつも同じ 同じであり、同じである からくりは最後に動き出す 最初と最後、その二度に 生まれ出ずる喜びと 懐かしき最後の郷愁と からくりには誰も気づけぬ それは誰にも見えないのだから 最初と最期に からくりは歌うのだ 時は刻まれる 喜びと、懐古と、 動き出す、最期の刻 出口は何処だろう 闇なら、いい 光が出口となる 深淵なら、いい 這い上がればそこが出口だ だがここは光だ ここは光射す場所 光溢れる場所に 出口は見えない 闇から見れば光は美しい 光から見た光は邪魔だ 光はすべてを消し去る 光は何も見えなくなる 強烈な光は視覚を奪い すべてを奪う 出口は見えない あそこだとわかっているのに 出口は見えない 配布元:BERRY
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