【 青空遊歩 】

01. 雨上がり

空気が澄んだ冷たい日々
静かで
誰もおらず
瑞々しい

冷え冷えとした世界
あまりにも静かで
とても寂しい

それでも孤独ではないのに

世界は静寂に包まれ
日々を過ごしている

孤独では、ない

清らかな世界に包まれ
私たちは生きている

雨は静かだからこそ清らかだ

私たちは孤独ではない

02. 散歩

世界を見れば
色々なモノが見えてきます

様々なモノ

ちゃんと自分の足をつけて
色々なモノを見よう

世界の正しい姿が見える

正しいもの
正しくないもの
綺麗なもの
醜いもの

それは自分にしかわからないけど

散歩に出て
世界を見て
知識だけではなく
自分の目と耳で

自分で世界を知ろう

03. レインマン

天才
鬼才
異質なモノ

それは違う
私たちはただ補っているだけだ
欠けたモノ
足りないモノ
私たちには多すぎるから

でもやはり
事実、私たちはどこか違う

だが、
間違ってはいないと思う

どれだけ違おうと
どれだけ区別されようと

私たちは間違っていないのだ

それでいい

違っても
間違っていなければ

私たちはそれでいい

04. 映画

スクリーンの中には男と女
何か違う風景

その映画を演じているのは誰だろう
どこかで見たことがある気がする
だけど誰だかわからない

どうして?
それは簡単
役者はそこにはいないのだし
そこは全く別の世界

演じる人間は別人だ
演じた人間も別人だ

人には多数の顔がある
使い分けと演技は同じ
つまり結局はそういうこと

スクリーンの中の世界は
誰にも浸食されることはなく続く

いつまでも、ずっと
演じた人間もそのままで

05. 子犬のワルツ

犬がワルツを踊っている
穏やかに
軽やかに
可愛らしいワルツを

犬は獣
本来は可愛らしいモノではない
獣は獣
怖いモノ

その身に牙を持っているのに
子犬はあまりに穏やかだ
まるでこの世界のよう
世界は絶えず穏やかだ

子犬がワルツを踊っている
美しく
のびやかに
可愛らしいワルツを

今はただこのワルツを見ていよう
これが世界の象徴だから

ある、昼下がり

06. 優しい人

あなたは優しいから
あなたは何も言わない

あなたは優しいから
あなたは何も言えない

あなたは優しいから
あなたはすべてを閉じこめる

あなたは優しいから
あなたはすべてをうち明ける

あなたは優しいから
あなたはすべての人に手を差し伸べる

あなたは優しいから
あなたは最後まで手を出さない

あなたは優しいから
あなたは優しいから

………
……


本当に優しいのは、どっち?

07. 虹色

虹色に輝く

七色
夢色
希望を込め

すべては虹色に輝く

人も
モノも
想いも
全部

すべてに色はあるけれど
すべてに色はないのだから

虹色に輝く
すべてのモノを輝かせる

空に想いを込めて
輝かせよう 七色に

08. キャンディ

甘く、とける
ほどよく、とける
甘く甘く、甘く

様々な味
普通は甘く
時には苦く

それは魂の味に似ている
甘く、苦い
様々な味
様々な色

人生という名の屈折

それは完成されたモノではないけれど
だからこそ甘く
だからこそ苦い

不思議な味
人の思い

とけていく
すべての想い
またいつか

09. 忘れ物

何か忘れているような気がします
でも、それがなんなのか
どんなものだったのか
好きか嫌いでさえ
忘れてしまいました

でも
それがとても大切だったことだけは
それだけはずっと憶えています

それは
泣きたくなるくらい悲しいことで
笑いたいくらいにおかしいことです

でも
すぐに忘れてしまいます

ほら
また忘れてしまいました

何か忘れているような気がします

とても悲しいことです

とても悲しいことです

10. 青い傘

なくしものをしてしまいました
青い傘です
ついでに彼も
どこかに行ってしまいました

青い傘を彼に貸して
結局返ってきませんでした
とても悔しいです

青い傘はお気に入りでした
誰にも貸したくないくらい
でも困っていたので
思わず貸してしまいました

でも返ってきませんでした

同じ傘はここにあるけれど
結局返ってはこなかったです
彼は返してくれませんでした

あの日の青い傘が
ずっと印象に残っていて

返してくれなかった傘と
ついでに彼のことが

ずっと瞼の裏から離れません


配布元:BERRY