■ 其の十二 ■

01. 醒めない闇の音

音は目醒めることはなく
闇にさまようばかり

音は目醒めて
光を導く

闇にただよう音は
いつまでたっても目醒めることはなく

世界に光は溢れ
闇は姿を消す

世界は枯渇し
闇を求める

永久の闇を
永遠の闇を
ただただ欲し眠りにつく

音は目醒めることはなく
闇にうずもれ
闇に眠る

02. 透明な軌跡が故

私がたどった軌跡は透明
誰も私をたどることはできない

あなたがたどった軌跡は透明
誰もあなたをたどることはできない

軌跡は人それぞれ違い
それらがすべて透明だから
誰も気付かない
私があなたに触れたって

私たちの軌跡は透明
それ故に
私たちはいつだって独り
でも誰も気付かない
私たちの軌跡が透明だから

透明な軌跡が故に
私たちはいつだって独り
触れることはあっても交わることはない
透明な軌跡が故に
私たちが重なることはない

透明な軌跡が故に

透明な軌跡が故に

03. ゆるやかな狂気

狂気がゆるやかに迫ってくる

狂々狂々狂々
頭の中で響く『歯車』

頭の中から音が響いていくたびに
私はどんどんおかしくなる
私はどんどん狂ってゆく

狂気が近づいてくる

人を食うのは禁忌であり
死体を好むのは狂人

それを行うたびに頭の中で音が響く
狂々と狂々と
『歯車』が回る音が

ゆるやかに狂気は近づき
私は次に何をしでかすのかしら

私は食人鬼であり
美しい死体を好む死体愛好家

さぁ狂え『歯車』よ
ゆるやかな狂気に導かれ
私は最大の禁忌へと足を踏み出す

04. 鮮烈な虚無と形

0に形はない
無に形はない
それは何もないということだから

0に形はないはずで
虚無に形はないはずで

ここにあるのは私の虚無

私は存在するのだから
私が0であるはずがない
私は存在するのだから
私が虚無であるはずがない

ここにあるのは私の虚無

私の暗部
私の闇
私の虚無はカタチを持って
私へと襲いかかる

ここにあるのは私の虚無なのだから
いっそ鮮烈と言っていいまでの形を持って
私へと襲いかかり
いつか私を喰らってゆく

05. 永遠の犠牲さえ

犠牲はいつだってつきもので
犠牲はいつだって無意味

犠牲の為に人は泣き
犠牲の為に森は叫ぶ

それでも
人はいつか忘れる

犠牲を
無垢なる魂を
純粋なる願いを
白き祈りを

すべて忘れ去り
人は同じ過ちを繰り返す

あぁ願いを
あぁ祈りを
あぁ魂を
あぁ犠牲を

すべて忘れるのです
そこにあった痛みすら

永遠の犠牲さえ
人々は忘れ去り

仮初めの平和に身をゆだね
人は生きる

06. 砕かれた約束と

打ち砕かれた約束は
どこかに捨てられ眠りにつく

打ち砕かれた約束は
誰かの胸で眠りにつく

打ち砕かれた約束の
カケラを抱き眠りにつく

打ち砕かれた約束を
胸に抱いて眠りにつこう

打ち砕かれた約束から
しみ出るモノは唯一の絶望

打ち砕かれた約束を
胸に抱いて眠りにつこう

打ち砕かれた約束を
打ち砕かれた約束を

胸に抱いて眠りにつこう
胸に抱いてこの手の中へ

07. 穢れた存在の意味

何の意味があるのでしょうか?
何の意味があるのでしょうか?
私たちに何の意味があるのでしょうか?

こんなにも汚濁でまみれた私たちに
何の意味があるのでしょうか?

私たちは汚れすぎた
私たちは純粋だった
私たちは欲にまみれた

そんな存在に何の意味があるのでしょうか?

私たちは祈り人
でも今は違う

汚れて欲にまみれた私たちは
すでに違うモノへと生まれ変わった

穢れた存在に意味はあるのでしょうか?
この世を穢すより他に意味などないのに

生きていたいんです

08. はかない願いと理由

私の願いが儚いのは
私の想いが弱いから

私の願いが儚いのは
私の祈りが弱いから

何かを強く望んだことはなく
何かを強く願ったことはなく

そんな人間が
弱いのは当然のこと

でも
ただ一つだけ私の中で強い想い

「生きる」ということ
「死ぬ」ということ

それが私の強い想い
それが私の強い祈り

夢も希望もなにもない
なにも為さない私の願いはいつも儚い

だからこそ
「生きる」ということ
「死ぬ」ということ

これだけは絶対譲れはしない

09. とめどない憎悪はどこへ

どこへ行けばいいのでしょうか
私たちはどこへ行けばいいのでしょうか

方向性が定まらない
誰に向かえばいいのかわからない

どこへ行けばいいのでしょうか
私たちはどこへ行けばいいのでしょうか

祈りや願いはとどまることができる
祈りや願いは正しい想いだから
祈りや願いは誰かに向けられたものじゃないから

でも私たちは違う

私たちは誰かに向けられたものだから
私たちは間違った想いだから

どこへ行けばいいのでしょうか
私たちはどこへ行けばいいのでしょうか

とどまることはできないから

私たちはどこへ行けばいいのでしょうか
憎悪という名の私たちは

10. 鮮やかな喪失にみる

ゆるやかに
ゆるやかに
少しずつ
まわりから消えてゆく

段々と
段々と
あなたが
消えてゆく

故に鮮やかな喪失

ゆるやかに
段々と
あなたが消えていった後

みえたものは

私の祈りとあなたの後悔

11. あふれる絶望と鼓動

絶望は私の中にあるのに
私の鼓動は止まろうともしない
それは何故?

絶望は私の中にあるのに
私のからだは止まろうともしない
どれだけ私が眠りたがっていても

絶望は私の中にあるのに
私の心は止まろうともしない
どれだけ私が空虚でいても

絶望は私の中にあるのに
私の想いは止まろうともしない
どれだけ私が絶望に染まっていても

絶望は私の中にあるのに
私の鼓動は止まろうともしない
どれだけ私が死にたがっていても

あふれる絶望と鼓動と
希望と想いは比例している
私が死にたくないのだから

12. 無垢な祈りならば

無垢な祈りならば
すべて許されると思ったのか
そこに呪をこめたのは誰だ

無垢な祈りならば
誰も気付かないと思ったのか
確かに感じる負の念を隠しもせずに

無垢な祈りならば
すべて騙せると思ったのか
それを祈りと貫き通して

無垢な祈りならば
自分を正当化できると思ったのか
自分ですら虚構に気付いているのに

無垢な祈りならば
すべて大丈夫と思ったのか
苦しむ人は確かにいるのに

無垢な祈りならば
免罪になると思ったのか
それは確かに罪なのに

無垢な祈りならば
すべて許されると思ったのか

すべてが罪であること
その身に確かに思い知れ

13. 汚れた後悔を刻み

後悔を胸に刻んでも
誰も気付きもしない

後悔を胸に刻んでも
私の祈りは届きもしない

後悔を胸に刻んでも
誰も気付きもしない

できることならこの胸を開いて見せてあげたい
そうすればこの後悔に気付くでしょう

誰も私が後悔してるなんて気付きもしない
後悔しない人などどこにもいないのに

どれだけ私が汚れても
私は自信に満ちている

どれだけ私が汚れても
私は後悔などしない

後悔しない人などいないのに

汚れた後悔を胸に刻み
私は生きる

誰も気付かぬまま

14. 刹那の記憶の行方

記憶はとどまることはなく流れ続け
いつか溶けて消えていく

ほんの一秒前のことでも
たゆまず流れ流れ流れ

とどまることはなく
あてもなく流れ続ける

どんなに大切なことでも
どんなにくだらないことでも
それは変わりはしない

とどまることを知らず
記憶は流れ続けてゆく

いつか流れて溶けて消える
刹那の記憶であろうがなかろうが

行方など誰も知りはしない
いつか流れて消えるのだから

15. 優しい嘘の吐き方

誰も知りはしないことを
誰か教えて下さいな

誰もできはしないことを
誰かおやりになさいなさいな

どうぞどうぞ
どうかどうか

誰か教えて下さいな
泣かせぬ術を教えて下さい

真実など何一つ言わず
ただただ嘘を貫き通して

誰か教えて下さいな
私に教えて下さいな

優しい嘘の吐き方を
泣かせぬ術を教えて下さい

嘘を貫き通し
そしていつかは真実になる

誰も知りはしないことを
どうか教えて下さいな

優しい嘘の吐き方を
優しい嘘などどこにもないのに

優しい嘘の吐き方を

16. 真実の夢はどこ

どこにあるのでしょうか
どこにあるのでしょうか

どこかにあるのでしょうか
どこにもないのでしょうか

どこにあるのでしょうか
どこにあるのでしょうか

たった一つの真実は
一体どこにあるのでしょうか

どこにあるのでしょうか
どこにあるのでしょうか

私の真実すらどこにあるのかわからないから
誰の真実もわからない

どこにあるのでしょうか
どこにあるのでしょうか

真実を映す夢すら
どこにあるのかわからない

どこにあるのでしょうか
どこにあるのでしょうか

真実の夢はどこ?



配布元:16の御題