■ 其の七 ■

01. 虚無

あなたは私に何を求めるの?
私の中には何もないのに
あなたは私に何を求めるの?
このカラダですら嘘なのに
あなたは私に何を求めるの?

その魂はまごうことなき虚無
故に彼女は何も理解できず

あなたは私に何を求めるの?

02. ただ少し

ただ少し
私に力があったのなら
ただ少し
私に希望があったのなら
ただ少し
私に夢があったのなら
ただ少し
私に命があったのなら

こんな悲しい結末を
招かずにすんだのでしょうか

03. 海底

優しさをあなたに
悲しみをあなたに
望むものは全部あげる
疲れたらここにお帰りなさい
この海の底へ
すべてを生み出す
この海の底へ

04. 白日

朝日が近づいてきたわ
ねぇ もう朝よ
お別れの時間ね
その手を離して
朝日を浴びれば私は死ぬ
だから離して
その手を離して
白日は私には強すぎる
その手を離して

05. 動かない時計

私はいまだ動かない
私の時計は止まったまま
私はいまだ動けない
私の時計は止まったまま
だってあなたがいないもの
だってあなたがここにいないもの

だから私は動けない
私の時計は止まったまま

06. ひっかき傷

私とあなたをつなぐ唯一の絆
この傷がなくなったらあなたはどこかに行ってしまうのかしら?
いいえ、そんなことさせないわ
その傷が消えてしまう前に、私がまたつけてあげる
あなたのその背中に
愛の絆を

07. 所詮、戯言

それはコトバ
それはウソ
それはアイのコトバ

それはワタシのコトバ

08. 晴れた日

空は真っ青
雲は真っ白
私は真っ黒
こんなにも あまりにも晴れた日は
あまりにも純粋で
だからこそ逃げ場を失ってしまう

晴れた日は怖いもの
逃げ場がなくなってしまうわ

09. サーカス

サーカスに行きましょう
そこではみんな楽しそう

サーカスに行きましょう
そこではみんな道化よ

サーカスに行きましょう
あなたも私も道化

サーカスに行きましょう
道化は道化で楽しいのよ?

10. 偽善

何を偽善と?
どれを偽善と?
何を
どれを
偽り、と?
偽りであろうが何であろうが
それは善いことに変わりないのに

何を偽善と?
どれを偽善と?
何を
どれを
偽りと?
何を
偽りの善いこと、と?

11. 必然

私とあなたが出会ったのは偶然?
私とあなたが同じ家にいるのは偶然?

私とあなたが同じベッドにいるのは偶然?
それとも、必然?

12. ヒビ

パキン パキン
変な音が聞こえる
パキパキと
何かが壊れてゆく音
パキパキと
私がひび割れていく音
ヒビが入っていくのは私
壊れてゆくのは私
独り壊れていったのは私
ヒビが入ってゆく
壊れてゆく

壊れるのは私
壊れるのは世界

13. その理由

あなたを叩き出した理由?
教えてあげましょうか?
だってあなたがうるさいもの

…嘘よ
本当は嘘
あなたといる時間は幸福すぎた
私は溺れたくなかったのよ
私はあなたなしで生きるの
あなたがいたら私はツブれる
だからあなたを叩き出したの

あなたを叩き出した理由
本当は知られてはならなかったのに

14. 無呼吸症候群

あぁ、このまま眠るように
死んでしまえたらいいのに
眠っている間に、呼吸が止まって死ねたらいいのに
そうすれば、楽に、なれるのに

15. 雪解け水

雪解け水はあまりにもキレイで
あまりにも冷たい
雪は寒く凍わすほど
水も氷になってしまうから
まだ大丈夫なのだけど

雪解け水はあまりにもキレイで
あまりにも冷たい
それでも暖かく必要なものだ

雪解け水はあまりにもキレイで
あまりにも冷たい
それはとても優しいモノ

16. 夢の夢

夢が夢を見てもいいじゃない
現実から見れば遠いものだけど
それでもいいじゃない
夢の夢
夢のまた夢

…寂しいのよ



配布元:16の御題