endless
ver.Reborn! 「…貴方は知らないかもしれないけれど、世界は俺たちがいなくても続いていくんですよ。 世界はちっぽけな俺たちのことなんて関係ない。俺たちが死んだって、世界は回り続ける」 それは例えば目の前の人に殺されかけて生死の境目を彷徨っているあの人だったり。 俺のことを庇って簡単に命を投げ出してしまった彼だったり。 仇討ちに行って同じように瀕死になっている彼らだったり。 彼らがたった今死んだって、世界は回り続けている。 世界には関わり合いのないことばかり。何が変化するというわけでもない。 …それで変わるのは自分という歯車が動かなくなるだけ。 カシャンと音を立てて、自分を構成する歯車が一つ一つ落ちていくのだ。 「それを貴方は知らない。貴方には大切な物がないから。 貴方が大切なのは自分の命だけで、他は何一つどうでもいいから。 だから――――こんな狂気を、貴方は知らない」 今病院のベッドで眠り続けている人がいる。 自分の知らないところで傷ついていた人がいる。 行ったら死ぬと分かっていてもそれでも向かっていった人がいる。 自分の死と引き替えにでも、と思った人がいる。 そして、生きて戻りたいと思った人がいる。 生きて戻りたくて、だけど許せなくて。結局半端なままで戻ってきましました。すいません、10代目。 …そう言って血だらけになりながら笑ってくれた人がいた。 悪ぃな、ツナ。俺も許せそーにねえわ。だけど生きて戻ってくるから。心配すんなよ。 そう言って、命を懸けて立ち向かっていった人がいた。 だいじょーぶですよ、ツナさん! 獄寺さんも山本さんも必ず戻ってきてくれますって! そう言って、自分の方が泣きそうなのに笑って励ましてくれた人がいた。 「…俺は、駄目なんですよ。人を殺すのって。 だからみんな俺の代わりにやってくれて、こんな状況になってしまったんですけど。 だけど――――こんな気持ちなら、人を殺すのだって悪くない」 それが多分今は病院のベッドで生死の境をさまよっているあの人が人を殺す心境で。 それが分かって何とはなしに嬉しくなって。 口元に浮かぶのは一つの笑み。 ――――君が行かないで、どうするのさ。 そう言って、お腹から血をぼたぼたと流しながらも、背中を押してくれた人がいた。 静かにグローブを填めた。 「…俺、最近はグローブ填めてないんですよ。人を殺したくないから。 だけど最近填めてないから。――――力加減誤って、殺しても知りませんよ?」 大切な人たちが死なないためなら何だってしてやろう。 大切な人のためなら何だってしてやろう。 君たちが俺にしてくれたことのように、俺も君たちにそれを返そう。 だから始めよう。 「まずは終わりを知るために」 ---
10年後ネタ。 組織同士の大抗争の末。でも始まりはきっと些細なこと。 |