好きなもの嫌いなもの。
ver.pop'n music


「ねえ、ユーリ。ユーリの好物っていったらやっぱり血なの? 吸血鬼だし」
「…突然何を言い出すかと思いきや、どうしたかごめ。普段はそんなこと言わないだろう」
「別に、気になっただけよ。それで? ユーリの好物は血なの? それとも他の何か?」
「…かごめ、私が吸血鬼だからといって誤解してはならない。全ての吸血鬼が血液が好物とは限らないのだから」
「それで? ユーリにとってはどうなの? 好き? それとも嫌い?」
「…かごめ」
「どうなの?」
「…確かに、好物と言えるのかもしれないが、好きこのんで吸おうとは思わないな。それに今の状態で血を吸えば、領主の資格を剥奪されてしまう」
「…どうして?」
「領主と呼ばれる存在は、誰からも恐れられてはならない。勿論人間からもだ。しかし吸血鬼は人の血を吸って生きる生き物。…人を食す生物が領主となった場合、その者は食事をすることの一切を禁じられることになる。そして、それを破った者は領主の資格を剥奪され処罰される。私の場合は、スマイルに殺されるだろうな」
「スマイルはそんなことしないわ」
「いいや、するだろう。誰であろうと上からの決定には逆らえないものだ。それに、アレは元々私が休眠していた時にやってきた代理の領主だったしな…。この程度のことは予測済みだ」
「……スマイルは、そんなことしないもの」
「……そうだな、かごめはそう信じていてくれ。それが、私にとっての救いだ」


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吸血王の幸福。
吸血鬼にとっては血は主食であり生きていく上で必要不可欠なものだけど、
ユーリが血を吸わなくても生きていける謎の解明。
でも吸血衝動はやってくるので苦しいばかり。
そういう時は素直に数百年くらい眠りにつきます。