【 interval 】

「…こちらはこれで完成ね。アッシュ、そちらはどうですか?」
「こっちもこれで終わりっスー!」
 オーブンからチキンを取り出してアッシュはリデルに向かって叫んだ。
「後は運ぶだけですね…。広間はユーリとスマイルが飾り付けてくれているので、どうにかなっているでしょう。ツリーや飾りもどこからか引っ張り出しているようでしたし。
 それにしても、何はともあれお疲れ様です、アッシュ」
「リデルさんこそ、お疲れ様っス…」
 同時に二人してため息を吐いた。明らかに疲労困憊と言わんばかりのそのため息。それはそうだろう、これからやって来るユーリの客を持て成すためのオードブルや、ワインなどのアルコール類、ジュースなど水分、デザートなどの全てを作り上げたのはこの二人なのだった。招く客人もユーリの友人だ、それは明らかに大量だ。その大量の食事を、明らかに二人で作るには不可能だと思われる量を作り上げたのは、リデルとアッシュだからこそというのが正しい。
「とりあえず、一休みしましょう…。料理を運ぶのは後でいいでしょう、8時まで少し時間がありますから」
「そうっスね…」
 チキンを机の上に置いて、アッシュはぐったりと顔を伏せた。リデルは伏せることはしない。というよりかは机一杯に料理があって顔を置く場所すらない。机の到る場所を占める品々を見て、リデルはぽつりと呟いた。
「料理は一端、これにて終了ですが…それでも本日は夜通し飲むようですね。……その場合、料理がなくなった場合はどうなるのでしょうか」
「……どうなるって、やっぱり」
「作るしかないのでしょうね…、私たちが」
 アッシュが顔を上げる。リデルが視線を向ける。二人の視線が交差した。
 そしてもう一つ、ため息。
「頑張りましょうね…、リデルさん」
「ええ、頑張りましょう……アッシュ…」



ハッピーメリークリスマス




【 ver.Y×K 】

「さぁて、僕らもこれで完成だねぇ。ヒッヒッヒッ…」
「そうだな、ツリーも完成した。飾り付けも出来た。後は料理を運ぶだけだ。スマイル、厨房に行って料理を取ってこい」
「りょうか〜い」
 スマイルがホールを歩いて厨房の方へと向かっていった。今日はスマイルも盛装だ。タキシードにブラックタイ、オニキスのカフスに立襟シャツ。何時パーティーに出てもおかしくはない格好だ。だが向かった厨房の二人はどのような格好をしていることやら。まずはそこから注意しなければならないかもしれない。
 その割にユーリの格好は普段と変わりがなかった。しかしそれも仕方がない。あれは領主としての格好なのだから、ユーリにはあれが正式な衣装なのだ。
「ユーリ」
 背後からふと声が掛かる。透明な声。かごめだ。ユーリは振り返った。かごめはいつも通りの黒いスリップドレスに裸足という出で立ちで佇んでいた。
「大きなツリーね、綺麗」
 かごめはユーリを見ることはなく、ユーリの向こうにある巨大なクリスマスツリーを眺めていた。天辺で輝く星を始まりとして、様々な飾りで彩られたもみの木。ユーリはまるで己が誉められたかのように誇らしげに笑った。
「お褒めに与り恐悦至極。これは長い間地下で眠っていたものでな、久々に外に出してみたのだが朽ちていないようで安心した」
 かごめはユーリを一瞥しただけで答えない。かごめはツリーを見上げたまま、焦点の合わない瞳でぼんやりと見ている。
「ねぇ、どうしてこんなことをしようと思ったの?」
 美しいツリー。美しい世界。煌びやかで艶やかで、財を凝らした趣向と内装と装飾と。普段の質素という言葉を体現したかのようなこの城では有り得ないほどに、美しい世界。
「別に。何も変わったことなどない。ただ久々に隣人を祝ってみようと思っただけだ」
「嘘」
「かごめ、嘘ではない」
 そう、嘘ではない。ただ別の理由が多数含まれているだけで。本当なら隣人を祝ってやろうなどという理由は二の次三の次だ。ただそれにかこつけて様々な者達に感謝の意を示したいだけで。
 そして、最近元気がなかった目の前の愛し子が、少しでも笑ってくれたらという願いを込めて。
「嘘よ。…ううん、嘘ではないけれど。嘘ではないけれど、そんなの順番としたらずっと後の方でしょう? ユーリがこんなパーティをしようと思ったのは私のせい。私が最近目に見えてしょぼくれていたから、元気付けようとでも思ったんでしょう?」
 ――――鋭い。
 ユーリは静かに苦笑を浮かべた。鋭い、本当に鋭い。元より女性はこういうことには鋭いことに加え、この愛し子は自分たちの申し子なのだ。特にリデルには何か学んでいるとしか思えない鋭さ。途中その期間に間が空いたとしても、この子は自分の愛し子だ。
「ユーリ」
 かごめの声。ユーリを責め立てる声。何も答えないユーリを責めている。だがこの苦微笑を見れば分かるだろうに。こういうところはまだまだ子どもであるという証か。
「ああ、その通りだ。確かにそれが直接的な原因の一つでもある。だが、そろそろ時効だと思ったのも事実だ。我らが隣人に愛を込めて祈りを。あまりに喧嘩が続くのもどうかと思ったのでな」
 かごめの瞳がユーリの瞳を覗き込んだ。真偽を確かめるような色を浮かべている。だがユーリには全ての感情を覆い隠してしまう術など幾らでも知っているし、そもそもユーリの言葉に偽りはない。それはかごめも認めていたではないか。
「…雪は嫌いなの」
 ふとその瞳から真偽を確かめる色が消え、かごめはふと語りだした。
「最近、雪が降り続いていたでしょう? ようやく今日止んだと思ったら庭園は真っ白で。
 ――――雪は嫌いなの。真っ白な世界は嫌い。すぐそこにユーリもアッシュもスマイルもリデルもいるというのに、世界に自分一人しかいないなんて錯覚を起こさせるんだもの。
 まるで、」
 まるで、と。かごめは遠い昔を思い出すような瞳をした。
「まるで、ユーリに出会った時と。捨てられた時を思い出すから」
 その瞳は、荒野にたった一人、置き去りにされた子どものようだった。
「…かごめ」
 そう、置き去りにしたのは他でもないユーリだ。その痛みを、その孤独を、誰が癒すことが出来るだろうか。
「大丈夫。私の傷はまだ癒えないけど、一緒に傷を癒してほしいわけじゃないもの。私の傷は私一人で癒すから。私の傷は私一人の物だもの。誰のものでもない、私一人の物だから。
 だから、ユーリが傷つく必要なんてないわ。だって、これは私の宝だから」
「…宝?」
「そう、宝。財産。私が誇ることが出来る、唯一価値のある物。私はこの傷で苦しむけれど、同時に私はこの傷で成長する。だから私の宝。財産なの。
 だから、私はこの傷を恥だとは思わない。この傷は様々な弊害を起こすだろうけど、私の弱さの具現化だけれど、それでも。
 私はこの傷を誇りに思うわ」
 黒衣の少女が、胸に咲く一輪の白い花の前で両手を組み、瞼を下ろした。
 まるで修道女の祈りのようだ。だが、これはそんな清らかなものではない。修道女のように何も知らずに世界の平和を祈るのではなく、己の汚濁も弱さも何もかも分かっていて、それでも己はこの傷を誇ると。
 これから必ず強くなると、突き詰めて言えば彼女はそう言っているのだ。
「…ハ、ハ。ハハハハハハハッ!」
 ユーリは破顔した。そして、大声を上げて笑った。
「…ユーリ?」
 突然のユーリの行動に訝しげにこちらを見て近付いてくるかごめ。その華奢な身体をユーリは強い力で抱き寄せて、己の腕の中に閉じこめた。その間も彼は笑ったままだ。
「ユーリ」
「…私のように何百年も生きているわけではないのに――――。かごめ、君の強さを、私は素直に敬服に値すると思う」
 きっと黒衣を身に纏っているとはいえ、彼女は白い花なのだ。彼女のその胸に踊る、可憐な白い花。白い、どこにでもある他愛のない花だ。可憐で、だけどきっと大地がある限り生き抜くことが出来る、強い花。
 だからこそ、少しばかり長く生きすぎたこの身には、彼女の存在は眩しくて。
 驚いているとはいえ、かごめは抵抗はしなかった。かごめは大人しくユーリの腕の中に収まって、俯いたユーリの頬にそっと右手を添えた。
「…私の傷が私だけの物のように、貴方の傷は貴方だけの物なのよ。ユーリ」
「あぁ、…そうだろうな」
 だからきっと、この精神を蝕んだ深い傷は己で癒すしかないのだ。
「私に出来るのは、きっと手助けだけよ。後はユーリで癒すしかない。だから、手が必要になったときは、私に言って。
 きっと私はユーリの手を離さないから」
 彼女は真っ直ぐにそう言う。だが、きっと己はその手を受け入れることは出来ないだろう。未だ彼女の存在は眩しすぎて。そして、誰かから差し伸べられた手を受け取ることも、誰かに頼ることも出来ない自分だから。
 それでもきっと、彼女はそれすらも分かっていながら言うのだ。自分は貴方の味方だから、と。何があっても、貴方の手を離さないからと。
「…ああ。………ありがとう」
 微かに、呟いて。
 ユーリは瞼を下ろして、彼女の肩に顔を埋めた。


【 ver.S×L 】

「ねーリデルー。今ちょっと時間空いてるー?」
「…空いてるわ、どうしたの? スマイル」
 厨房にひょっこりと顔を出したスマイルに、リデルは立ち上がってそちらを向いた。珍しくもスーツなどを身に纏って盛装をしているスマイルに対して面食らいながらも、リデルはそちらに歩いていく。
「んー? ちょっとリデルに用があってねー。アッス君、大丈夫ー?」
「あ、俺は大丈夫っスよー。多分これから忙しくなるんで、今の内にリデルさんを連れ出しちゃってくださいよ、スマ」
 アッシュはそろそろ頃合いとばかりに大量に料理を積んだ皿を両手に持ってホールへと運んでいる。確かにそろそろ時間だ。それと、その役目はリデルの物でもあるのだ。
「アッシュ、私も手伝います。スマイル、後からでも構わないでしょう?」
 自分はあくまでも裏方に徹しようとリデルはスマイルの方からアッシュの方へと向かっていく。だが二人してそれを阻んだ。
「いや、俺の方は大丈夫っスからスマの方に行ってください。後は運ぶだけなんで、ちょっと時間かかるかもしれないかもしれないっスけど、俺一人でも大丈夫ですよ」
「そーだよ、リデル。アッス君もそう言ってるんだし、僕んトコ来ない? お姫様」
「っ、ですが」
 いい加減自分でも理解している程強情で、職に対して忠実なリデルはあくまでもここに残ろうとするが。
「はい、俺は大丈夫っスから、早くスマのところに行ってくださいねー」
「はい、リデルはこっちねー」
 そんなこんなで妙にタイミングがピッタリな二人に妨害されて、スマイルによって厨房から連れ出されてしまったのだ。
 そして連れ出された場所といえば、雪で覆われた中庭だった。昨夜まで降っていた雪は粉雪だったようだ。さくさくと音を立てながら、スマイルとリデルは二人で中庭に歩を進める。今夜の空は昨夜の面影はなく星が瞬いていた。
「…スマイル、私としては早く己の職務に戻りたいのだけど」
 リデルは己の前を歩く長身の影に話しかける。なるべくなら己を職務から離れさせた恨みを込めて。だがスマイルはリデルに答えることなく前へ前へと進んでいく。
「……」
「スマイル」
 二度目を呼びかけても、スマイルは振り返る気配もない。それでリデルもスマイルがリデルに答える気がないということが分かった。リデルは無言でスマイルに着いていく。こういった状態のスマイルには何を言っても無駄だ。大人しく着いていくが吉である。
 スマイルは中庭を通り抜けて奥へと進んでいく。リデルはそれに着いていった。
 ――――そして最終的に辿り着いた場所というのが、この噴水庭園だった。
 この広大なユーリ城の庭の、奥深くに隠されるかのようにある、冬の庭園。星々と、足跡すら付いていない白い雪と、その中央にある雪明かりと星明かりに照らされた、今でも生きている噴水。
「スマイル、ここは…」
 リデルは驚きに立ち止まったが、スマイルはリデルを無視して噴水に腰掛けた。それからようやくリデルを認識して、己の隣をぽんぽんと叩いた。どうやらそこに座れと言うことらしい。リデルはあまりにも真っ白な雪原に足跡がつくのを多少厭いながら、それでもスマイルの隣まで歩いて噴水に腰掛けた。
「ここはねぇ、普段は何にもない場所。この噴水も動いてないし、雪の下にも少しの花が咲いてるだけで本当に何にもない。だけど何となく僕がここを気に入って、それ以来ここは僕のお気に入りなんだよ。今日は特別にユーリに動かして貰ったんだ」
 リデルはめかし込んでいるスマイルの隣で、スマイルの方を見ずに、だけど黙って聞いていた。リデルの視線はスマイルではなく目の前の光景に向いていた。
 確かにここは何もない。寂しい場所だ。今は雪に覆われていて雪と星と噴水しか見えないが、普段でも何もないとスマイルは言う。だけどだからこそスマイルの琴線に触れたのだろう。元々スマイルはこういった渇いた光景にこそ心を引かれる人間だ。あまり装飾された場所には興味を持てないと思われる。ちなみにそれはリデルにも言えることだが、リデルのそれは少し違うのでこの場にはそぐわない。
 しばらく、二人の間を沈黙が支配した。スマイルもリデルも基本的には人並みに喋る性質だ。だが、今この状況に最もそぐわない物はそれこそ互いの意志を伝えるための言葉だ。二人の間には言葉など不必要とばかりに、奇妙なまでに心地よい沈黙が流れていた。
 だが、何時までも流れるかと思った穏やかな沈黙。それを破ったのはリデルの隣に座っていたスマイルだった。
「はい」
 そんな言葉と共に、リデルの膝の上に何か放り投げられた。リデルはそれを受け取り、両手で抱えて訝しげに覗き込む。
 どうやら、見る限りは小箱のようだ。片手に収まる大きさの小さな小箱。しかもリデルはこのような小箱を見知っていた。あれは生前のことだっただろうか。リデルがまだ人間で、貴族だった頃。貴族という生き物として、日々己を着飾っていた時によく見ていた。
「開けてみて」
 普段なら、訝しげに小箱を見るリデルの様子に悪戯を仕掛けるはずのスマイルは、本日に限ってそんなことを仕掛けてこない。リデルは素直にスマイルの言うことに従って小箱を開ける。そこにあったのは――――、
 指輪、だった。簡素な銀のリングの中央に、大きなアクアマリンが一つ埋め込まれている指輪。それが、小箱の中にひっそりと存在していた。
「あげるよ、それ」
 リデルは惚けたようにその指輪を見つめていた。簡素な銀のリング、アクアマリン。銀は魔を寄せ付けないという意味を持ち、アクアマリンは聡明や信念を守る強い心の意味を持つ。それを知っていて、恐らくスマイルはこういうリングを作ったのだろう。スマイルらしいことだ。しかもこの簡素さもスマイルが好きなところだ。
 ああ、やっぱり指輪だったのだ。ならば見たことがあるに違いない。生前のリデルは貴族だ。貴族は着飾ることが義務であり、リデルの指にも必ず何らかの指輪が輝いていた。社交界に出るときの指輪は全てリデルが自ら選んでいたのだから、その指輪を保管するための小箱もよく見知っているに違いないのだ。
「はっきりと誓ったことってなかったから。今の内にやっとこうかなって」
 スマイルはリデルの様子も何もかも全てを無視して話を進めていく。何を誓ったことがなかったというのか。リデルには色々と覚えがありすぎてどれだか分からない。
「リデル、指に填めて。勿論、左手の薬指に」
 言われるままにリデルは左手の薬指に指輪を填めた。それをきちんと見届けて、スマイルは立ち上がってリデルの前に立ち、先ほど嵌ったばかりのリデルの左手の薬指の指輪に口付ける。
「…スマイル?」
 ここにやってきてから、どうもリデルはスマイルの名前しか呼んでいない。だけどその分スマイルが不思議なことをやらかすのだ。これはどうしようもないではないか。
 スマイルはリデルの疑問に答えようとはせず、呪を紡ぐ。まるで幸福な祝福の言葉のように、他愛もなく呪を紡ぐのだ。
「私、スマイルは――――命を落とすまで、リデル・オルブライトの恒久の伴侶であることを我が魂に誓います」
 スマイルが、笑う。リデルの指輪から唇を離して、スマイルが笑うのだ。
 誓い。それは誓いだ。
 そして、誓いであって、それは呪いだ。どちらかが破った場合、それだけの罰が下る呪い。いや、誓約――――禁戒と言った方がいいのか。
 まるで結婚式の祝辞のような言葉。スマイルもそれを狙っているのだろう。ならば、呪いと知っていながらもリデルも返さなければならないではないか。
「私、リデル・オルブライトは――――スマイルのために命を賭して死ぬまで、スマイルの恒久的伴侶であることを、我が魂に誓います」
 意図せずに、思わず口から着いて出た。今度はスマイルが驚く番だ。ただ返してくれるだけで良かった返事に素晴らしいアレンジが加えられて、しかも微妙に不吉な風になって返ってきた。
「リデル、本気で…?」
「ええ、私はお前のために命を賭して死ぬ。それだけは決めているの。だから、それまではお前の恒久的伴侶でいるわ。安心なさい」
 そして、リデルは不敵に笑った。誰にも邪魔させはしないとばかりの笑み。スマイルはその笑みに気圧されたように押し黙り、それから微笑んだ。
「あはは、やっぱり大好きだよ、リデル。愛してる」
「ええ、私も愛してるわ、スマイル」
 そしてもう一度誓いを。
 互いが互いのために命を賭すことを約束しながら、己の魂に誓うのだ。
 星と、雪と、噴水と。それ以外は何一つない朽ち果てた庭で、二人は互いにではなく己の魂に永遠を誓った。


【 epilogue 】

 そして、城の全員がホールに集まった。
 これより8時。ユーリが招待状に書いた、パーティの開催時刻である。
 だが客人は未だ誰もやってきていない。それでも全員は不安に揺れることなくシャンパングラスを片手に揺らしている。
 さて一番手はどこの誰か。やはりオッドアイの知識番とミスクロックか、それともお抱えの整備工の青年とセイレーンか、それとも傍迷惑な創造主か仮面舞踏会がお気に入りの幽霊伯爵か、はたまた他の誰かか。
 何、時間は幾らでもある。待つだけならば幾らでも出来るのだ。
 ギ、と重厚な樫の扉が開く。光の中に闇が侵食してくる。そして――――、

「いらっしゃいませ! ハッピーメリークリスマス!」

 シャンパングラスを天にかざした。グラスから零れて飛び散る飛沫達。光に反射して、眩しくて目を細めた。
 そう、パーティーはこれからなのだ。



 貴方にハッピーメリークリスマス。来年も貴方と共にあることが出来ますように。